AKANET2号

                             じゆうがくえんみょうにちかん

 この建物は、JR池袋駅西口から5分程の閑静な住宅街に

建っており、旧帝国ホテルの設計者として有名なフランク・

ロイド・ライト(1867−1959)が、高弟である遠藤

新(1889−1954)と共に設計し、大正15年に完成

したものである。

 生徒の個性を尊重し生かす教育を目指し、既成の型にとら

われない学校をつくりたいとの、羽仁もとこ・吉一夫妻の理

想と教育観に共鳴して、ライトは「その名の自由学園にふさ

わしい自由な心こそ、この小さな校舎の意匠の基調である」

と書き記している。

   

 その言葉通り、格調高い豊かなドラマ性のある美しい空間

は、オリジナルの家具と共に建設当時の姿を今に残している

貴重な存在である。現在の自由学園明日館は、周辺の環境が

変わってゆくなかで、この地域のオアシス的存在であり、「

平成8年度豊島区アメニティー形成賞」の授賞対象の1つと

なった。

 明日館は、自由学園の愛情のこもった管理により、その美

しい姿を維持してきたが、70余年の歳月により老朽化が進

み、倒壊の危険にさらされている。教育史的、建築的価値は

もちろん都市環境保全の意味からもこの貴重な文化遺産の保

存を望む声は、内外の多くの人々からあがっている。

 

宇田川代表は35年前、日本大学の卒業論文「ライトと日本の建築」の中で、ライトが日本の建築

から得たもの・日本に残した建築について研究したこともあり、保存活動に微力ながら参加している。

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