ＣＡＳＥ２

ビラカーサ蘆花恒春園

ペントハウス（最上階住居）に住む

　この建物は世田谷区の閑静な住宅街に建つ分譲マンション

で、第一種低層住居専用地域内のため、３階建て高さ１０ｍ

以下で計画されています。前面道路には桜並木があり、又す

ぐ前には蘆花恒春園という広大な都立公園に恵まれ、緑の多

いすばらしい環境にあります。

　この環境を生かし、しかも最大限土地を有効に利用する手

法としてグランドメゾネット（１階と地下１階のメゾネット

）住居を採用しました。

　規制緩和によって容積対象外の地下居室が可能になったに

もかかわらず、建築コストの面でまだまだ地下室付住居が普

及していないのが現状です。この建物では地下室付住居のメ

リットを十分生かしながら、快適な地下居室の計画に成功し

ています。

　この建物の設計メインコンセプトは

　　�@容積対象外地階の有効利用−地下居室の採用、駐車場

　　　駐輪場・共用室をすべて地階に設置

　　�A地上の空地をすべて緑地化

　　�B戸建住宅感覚のユニットプラン

の三点に集約されます。

　地下居室と言うと暗く陰気なイメージを持つかもしれませ

んが、実はプランの作り方によっては、魅力のある空間作り

が可能です。例えば、都心の超高層ビルやホテルで地下１階

にもかかわらず風と光と緑を十分感じとれるロビーなどの空

間を体験したことがあると思います。つまり住宅の地下居室

においても設計次第で十分居住性の高い豊かな空間を造るこ

とができるのです。

光と風を取り入れる工夫

地下室とは思えないドライエリア空間

この建物では、

　�@ガーデニングを楽しめる奥行き４m以上のドライエリア

　　の採用。

　�A逆梁の採用でドライエリアに面した地下居室のサッシュ

　　をハイサッシュとし、十分な採光を確保。

　�Bドライエリアからの風が、地下居室を通り住戸内部にあ

　　るライトコアを抜けて外部に出る風の道を採用。

　�C上下階及び隣戸を気にせず使える部屋（オーディオ、ピ

　　アノ、パーティールーム等）を持つプランの提案。

　�D地階にもトイレ、キッチンを設置し、地下居室の居住性

　　を高める提案。

　�E地階リビングで、天井高さ５ｍの吹き抜け空間を持った

　　プランの提案。

　など様々なハード面での工夫を凝らし、グランドメゾネット

タイプを持つ低層都市型永住マンションとして設計されていま

す。

　分譲開始後、最も価格の高いグランドメゾネットタイプが最

も人気があったという事実は、今回の設計コンセプトが、新し

いマンションライフを希望する人々に支持された結果と考えま

す。

（志知）

ビラカーサ蘆花恒春園全景（模型）

事業主：ナカノコーポレーション