AKANET4号

地元のまちづくりと茜設計

 

 かねてより茜設計が保存運動に参加していた自由学園明日

館(本誌2号で紹介)が、5月29日付けで重要文化財に指

定されました。

 そのオリジナルの家具と共に美しい空間を持つ建物は、帝

国ホテル旧館(現在明治村)の設計者として我が国建築史上

に大きな足跡を残したF・L・ライトの作品です。

自由学園明日館 館内

 自由学園の愛情のこもった管理によってその美しい姿を維

持してきましたが、70余年の歳月により老朽化がすすみ、

教育史的・建築的価値はもちろん都市環境保全の観点からも

この建物の保存を望む声が内外の多くの人々からあがってい

ました。保存運動の甲斐あって、明日館4棟の建物は、我が

国では数少ない、収益事業として活用しながらの「動態保存

」という方法での重要文化財指定となりました。

 このことを記念して宇田川が実行委員長となり、建築士事

務所協会と豊島区が共催で「明日館の見学会」と「記念講演

会」を開催することとなりました。この機会に「自由な心こ

そ、意匠の基調である」とライトが記したドラマティックな

空間をご覧ください。

 

日 時 : 平成9年10月24日(金)

講演会 : 2:30PM〜4:00PM

      「フランク・ロイド・ライトと日本」

      日本大学工学部教授 谷川正巳先生

見学会 : 4:00PM〜5:00PM

参加費 : 無料

※参加ご希望の方は

   TEL 3986-0731 FAX 3986-0734

 までお申し込み下さい。

−茜設計25周年記念事業の経過報告−

フィリピンでの足長おじさん

 話は10年前に遡る。世の中がバブル景気で沸き

返っていた頃、弊社は創業25周年を迎えた。派手

な記念行事は避け、たとえ小さな事であっても心に

残り、次の世代につながる記念事業をしたいものと

考えていたちょうどそんな時、読売新聞でフィリピ

ンでの足長おじさんの記事が目にとまった。

 この記事を読んで最も心を惹かれたのは、ただ金

品を集めて提供するだけの生活援助ではなく、将来

の生活力を身につけるため厳格公平に選考された向

学心に燃える若人への奨学制度であり、里親制によ

る奨学生との交流を重視した活動方針だった。

 入会2年後、会はダバオに土地を求め会館を建設

し寄贈した。現在大学生が核となる学生委員会によ

って維持管理が行われ、日本語教室や各種パーティ

ーに活用されている。既に毎年25人の優秀な卒業

生を輩出し、今年も17人の新規奨学生が認証され

ている。

 ネルソン・エスぺロ君は、茜設計が8年間里親と

なって支援した2人目の奨学生で、名門ホリクロス

高校から今年ミンダナオ大学電気工学科をすばらし

い成績で卒業し、現在ライセンスを取得するべく頑

張っている前途有望なエンジニアである。彼の卒業

を祝福するため今年初めてフィリピンを訪れたので

ある。

 これから4年間、茜設計が里親となる次の奨学生

はヨランダ・テネブロさんで、大学に進学が決まっ

た17歳の女性である。このように地味な活動では

あるがこれからの日比両国の親善に役立てればと、

ささやかではあるがこれからもこの事業を継続する

方針である

エスペロ君と宇田川代表

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