敷地は急傾斜地で、東側からは２階建てであるが、西側からは３階建てに見えるなかなか面倒

な地形である。

　いろいろなハンディキャップを、どう逆手に生かすかがこの建物企画のポイントとなった。

調査の結果、近くには日本大学芸術学部や武蔵野音楽大学があることから、音大生やミュージ

シャンを対象とした完全防音のマンションとすることとなった。

　１０戸の防音室と３室のレッスンルームは、室間透過損失Ｄ−６５以上の高水準完全防音と

なっている。このため、深夜にピアノを弾いても全く支障ない。

　外観デザインは、曲面を使った柔らかなファサードとし、ミュージシャンの感性に共鳴する

ように考えた。

　なおこのマンションは、１９８８年建築技術別冊第１号の巻頭に、防音工事の特集記事とし

て詳細に取り上げられた。